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キャリア教育のヒント第19回――根本 英明

人生100年時代の「幸福」見据えて


 専門学校生の多くは20歳前後だろう。『ライフシフト』の著者リンダ・グラットンによれば、この世代の平均寿命は100歳を超すという。これまで多くの人にとって、人生のステージは、①教育(25歳前後まで)、②仕事(25歳から60歳頃まで)、③引退(60歳以降)の3つだった。

 それが将来、大きく変わらざるを得ない。急速な少子高齢化社会の到来で、老後の年金もあまり期待できない。今後は80歳過ぎまで働くのが普通になってくるだろう。「えっ、そこまで働かなくてはならないのか?」と思う方もいるかもしれない。

 けれどもこれは必ずしもネガティブなことではない。健康寿命が延びることによって人生の新しいステージが現れ、これまでできなかった多様な生き方ができようになるということでもある。

 リンダ・グラットンは、人生100年時代の到来により、エクスプローラー(自分の生き方を探究する)、インディペンデント・プロデューサー(組織に雇われずに独立した立場で生産的な活動に携わる)、ポートフォリオ・ワーカー(異なる種類の活動を同時に行う)の3つのステージを行ったり来たりするマルチステージの人生が送れるようになると述べている。

 長い人生には変化と変身がつきものとなる。2045年には人工知能が人類を超える「シンギュラリティ」に到達するという指摘もある。予測困難な未来に対応するためには、変化に受身でなく、主体的に関わることで自らの可能性を発揮し、より良い社会と幸福な人生(ウェルビーイング)を創り出していくことが重要となる。

 2019年の世界幸福度ランキングで、日本は58位だった。これまでの日本はウェルビーイングを得づらい社会だといえる。セリグマンによれば、ウェルビーイングの構成要素は①ポジティブな感情、②エンゲージメント、没頭、③人間関係、④意味や目的、⑤達成、の5つ。

 経済的豊かさだけが、人生の幸せや満足につながるわけではない。幸福な人生を送るには、創造的な欲求を伸ばし、多様な働き方や人的ネットワーク、生涯にわたる学びを実現していく「無形資産」が必要だ。そして多様性のある社会では、自身の健康や幸福だけでなく、周りにいる人々のウェルビーイング追求とそれを維持する「創造性」の能力が求められるのだ。これが次代を担う若者たちのキャリアプランにとって重要な視点である。(最終回)





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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